Photo by blupicsこんにちは、谷口です。
ITエンジニアを目指す就活生の皆さん、応募する企業はどうやって選んでいますか?
「プログラミングができればどこでもいい」「どこに入社しても同じでしょ」と考えて応募先を適当に選んでいる人もいるかもしれませんが、これはちょっと危険です。
例えば「文系出身・プログラミング未経験者でもOK!」という企業と「情報系出身で開発経験が既にあることが必須条件」という企業では、キャリアパスや求められる仕事は大きく異なります。
これを知らずに適当に企業を選んでしまうと、入社後に「思ってたのと違った……」とミスマッチが生じてしまいます。実際、それが原因で入社間もなくから転職活動を始める人も多いです。
今回はIT業界の構造や、業種ごとに求められるスキルや仕事内容の違いを紹介します。どんな企業を選ぶか、どんな仕事をしたいのかを考える参考にしていただければと思います。
■エンジニアを募集している企業とその特徴
新卒求人が多い企業の主流として、ざっくり自社開発・受託開発の元請け・受託開発の下請けにおける開発部門のエンジニアという分類で説明していきます。
※このほかにも組み込みエンジニアや社内エンジニア、よりニッチな領域を研究開発をしているエンジニアなども含めると分類は多岐に渡ります。また、大手企業では、開発部門以外にもインフラエンジニア、ネットワークエンジニア、セールスエンジニアなど職務が細かく分かれる場合もあります。より深く専門性を求められる求人は中途転職経験者の募集が多い傾向にあるため、新卒求人が多い業種に絞って紹介していきます。
■自社開発
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自社内で、自社製品であるサービスやアプリ、ゲームやパッケージソフトなどなどを作っている企業です。
◆何を作るの?
B2B・B2C問わず多種多様なプロダクトがありますが、
例えば
などなどがあります。
詳しくはpaiza新卒の求人票でごらんください。
IT/WEBエンジニアの求人情報 | ITエンジニアを目指す学生の就活サイトpaiza新卒
◆大手の自社開発企業
大手企業やメガベンチャーでは育成枠を設けているところもありますが、多くの企業ではエンジニアとしての即戦力が求められています。たとえばYahoo!、楽天、クックパッド、サイバーエージェント、コロプラなどなど……の企業がこれに当たります。
◇利点
- 比較的自由な社風(私服通勤、裁量労働制など)の企業が多い
- ユーザー数が多い有名プロダクトの開発に携われる
- 分野にもよるが、比較的新しい技術を採用している企業が多い
- 研修や福利厚生、昇給制度などがしっかりしている
◇欠点
- 開発部門の人数が多いと、仕事が細かく分業されて、裁量が少ない場合もある
◇求められる資質
- 開発スキル(育成枠でも採用時にプログラミングの素質や地頭のよさが重視されます)
- 技術を追う感度
- ユーザーなどの調査、分析、企画スキル
※分業が進んでいる企業の場合は企画や数値分析の部門が分かれている場合もあります
◆小規模スタートアップの自社開発企業
自社サービスを開発している企業というと前述のような有名企業が思い浮かぶと思いますが、まだ数人~数十人規模の小規模スタートアップ企業もかなりたくさんあります。
かつてはスキルと経験のある中途転職者の募集が中心でしたが、最近は「開発経験がある人なら新卒も採用したい」という企業もかなり増えてきました。
◇利点
- 大手と同様に、比較的自由な社風で新しい技術を採用している企業が多い
- 幅広く裁量の大きい仕事に携われる
大手に比べると人数が少ない分、幅広くいろいろな業務に携わることができるのがスタートアップ企業の魅力かと思います。
◇欠点
- 安定性に欠ける
- 立ち上げたばかりの企業では、研修や会社の制度が整っていない場合もある
大企業なら必ずしも安定……という世の中ではなくなってきましたが、小規模なスタートアップの段階では、やはり安定性に劣ります。これまでになかった新しいサービスを企画・制作・運営し、軌道に乗せる仕事は、夢があるように思えますがかなり大変です。うまくいって成功すればよいのですが、頑張って作ったものがお金にならず、軌道に乗せられないままクローズになって、会社自体も終了してしまった……といったパターンは珍しくありません。
また、これは欠点とも利点ともなるポイントですが、小規模なスタートアップの場合、会社で明確なキャリアパスが用意されているわけではないため、自分でどんな方向に進むのか(例えば開発チームをまとめるリーダーポジションになっていくとか、そうではなく専門性を深めていくとか……)を考えていく必要があります。
しっかりしたスキルとキャリアビジョンがある人なら、転職や起業なども叶いやすい業界です。ただ、与えられた仕事をしていれば出世コースに乗れる環境ではないため、自分でキャリアを考えて目標達成していかねばならない点はかなり大変かと思います。
◆求められる資質
- 開発スキル
- 技術を追う感度
- スピード感
- ユーザーなどの調査、分析、企画スキル
スタートアップの場合、より即戦力レベルの開発スキルが求められます。また、決まった機能をすぐに開発してリリースして反応を見て改善して……といったことがよくあるため、そのスピード感についていけることが重要になります。
■受託開発
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さまざまな顧客から依頼を受けて、システム開発を行っているのが受託開発企業です。(システム インテグレーター、SIer、SIと呼ばれることも多いです)
例えば、銀行ではATMで作動するシステムが必要ですよね。そこで、銀行からの「こういうシステムを作ってください」と注文を受けて、その通りに作るのが受託開発企業の仕事です。
この例で言うと、銀行から直接注文を受けたのが元請け企業で、この元請けから注文を受けて、大きなATMシステムを分割したパーツごとにプログラミングしていくのが下請け企業となります。
◆何を作っている企業があるの?
B2Bやバックエンドのシステムが多い傾向にありますが、非IT企業から依頼を受けてB2Cサービスを作ることもあります。
- 金融系システム(ATMなど)
- 官公庁系システム(市役所で使われるシステムなど)
- 医療系システム(病院で使われるシステムなど)
- 民間の非IT企業のサービス(メーカーの通販サイトなど)
などなどがあります。
詳しくはpaiza新卒の求人票でごらんください。
IT/WEBエンジニアの求人情報 | ITエンジニアを目指す学生の就活サイトpaiza新卒
◆元請け企業
元請け企業のエンジニアは、主に前述のATMのシステムのような大規模開発で、プロジェクトマネージャーとして開発者たちをまとめなければなりません。社員は入社後大体1~2年ほどで、プログラミングをするよりもマネージャー側の管理業務を任されるようになります。
受託開発は、顧客とすり合わせて「この日までにいくらでこういうシステムを作ってください」と契約を交わした上で開発業務に取り掛かるため、システムを作ることができればお金は入ってきます。また、元請け企業は大企業が多く、経営も安定しているところが多いです。
◇利点
- 上位請けは大企業で経営が安定していることが多い
- いろいろな開発プロジェクトを経験できる
- 明確なキャリアパスがある
元請けに近い上位企業になるほど、大手企業で経営が安定していたり、研修制度や昇給制度、福利厚生などが充実していたりします。また、元請け企業のエンジニアには、マネジメントに移っていくキャリアパスが用意されているため、それに従っていけば安定してキャリアを積んでいくことができます。
◇欠点
- 数年でプログラミングをする必要がなくなる
- 仕事で新しい技術を使えないことが多い
前述の通り、キャリアを積んでいくと、そのぶん開発よりもマネジメント業務が中心となっていくため、仕事を通して開発スキルを磨くのが難しくなっていきます。
また使用できる開発環境は限定されることも多く、「仕事で最新技術をがんがん使いたい」という人には向かないかもしれません。
◇元請けで求められる資質
- 客先とうまくやり取りや交渉ができる
- スケジュールや人員を管理できる
- 設計のスキル
- 技術選定ができる
受託開発の場合、期日や予算の範囲を守って、システムを必ず完成させなければなりません。そのためにはプロジェクトの人員やスケジュールを管理するスキルが必要です。元請け企業の場合は、小規模な自社開発企業よりも、仕事を通してこうした管理スキルを身につけやすい環境かと思います。
また、「受注したシステムをどんな技術を使って作るのか?」を決める技術選定をする場面もあるため、ミドルウェアやライブラリなどの特徴を調べて把握する力も必要です。
■下請け企業
上記の元請けから業務を受注して、開発を行うのが下請け企業です。構造がややこしいですが、大規模な開発案件は、システムを作りたい顧客から元請け企業が受注し、分割してさらに二次請け、三次請けへ発注する……といった行程で作られるものがほとんどです。この二次請け、三次請け……n次請け……と仕事の降りてくる企業が下請け企業となります。
◇利点
- 未経験でも入社でき、研修でプログラミングを学べる
- 開発要件は決まっており、実装に集中しやすい
- 元請け企業よりも手を動かしていられる期間が長い
◇欠点
- 元請けと同様に、開発環境が限られているため仕事で新しい技術を使えないことも多い
- スケジュールのしわよせを受けて激務になることもある
- 元請け企業や顧客企業で常駐して開発する仕事が多い
元請け企業や顧客企業の都合に合わせるケースが多いため、自社ではなく常駐先で開発すること多いです。またスケジュールの厳しいプロジェクトに入ると業務量のコントロールがしにくく激務になってしまうことがあります。
◇受託で求められる資質
- タスクを管理できる
- 納期までに作りきる
- 設計書などのドキュメントを読み解くスキル
■まとめ
同じエンジニアでも、業務の進め方や求められるスキルはこのように異なっています。
どちらがよい・悪いということではなく、応募する前に業務内容や特徴を把握できていれば、入社してから「思ってたのと違った」「こんなはずじゃなかった」といったミスマッチを減らすことができるでしょう。
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