Photo by pycon jp秋山です。
Python3を使って開発中&勉強中の皆さん、組み込み関数はどれくらい覚えていますか?よく使うrange, input, min, max, dict……などしか覚えていないという人も多いかもしれません。
公式ドキュメントを見ると、実に68個もの組み込み関数がありました。(※ちなみに2系→3系で、あまり使われていないものはimportが必要になったり、上位機能のあるものが下位機能と統合されたり、命名変更されたりしています。例えばxrange,rangeは統合、reduceはfunctoolsへ移動…などなど。)
もちろん、あまり使う機会のなさそうな特殊な関数まで覚えておく必要はありません。が、実は案外知られていないけど、使うと結構便利なものもあるのです。
というわけで今回は、意外と知られていないけど、知っていると便利ではかどると思うPython3系の関数を紹介していきます。(※今回はPython3系の関数について説明していきますので、Python2では動かないものもあるかと思います)
■all()
all()は、引数にリストやイテレータを入れた場合に、全てがTrueならTrueを返す……(全ての要素のandをとってくれる)という関数です。
何かしらの配列に対して、全ての要素がある条件を満たしているかどうか知りたい…というときに使えます。
例えばこのように記述すると、リスト内包表記で5以下であればTrueのリストを作ってくれるので、全てきちんと5以下のリストになっているかどうか?といったチェックができます。
ifall(i<=5for i inrange(5))
条件の総数が変化する可能性があるから、条件をappendしていって最終的にallしたい……みたいな場合は、他のやり方を考えるよりもシンプルに書けて便利なんじゃないかと思います。
■any()
allの別バージョンみたいな感じで、anyは全ての要素の or をとってくるので、1つでもTrueがあればTrueを返すという処理になります。用途としてはall同等のシチュエーションで場合に合わせて使えるかと。
allとanyはどちらもイテレータの処理が可能となっているので、Python3で増えたイテレータ類を使う機会に便利かと思います。
■enumerate()
リストやイテレータを受け取って、インデックスを付けたイテレータを返してくれます。
例えばこのように書くと
enumerate(["a", "b", "c"])
このようなイテレータを返してくれます。
[(0, 'a'), (1, 'b'), (2, 'c')]
Pythonではループが基本的にforeachなので、インデックスが欲しい場合によく使います。
↓こんな感じで書けばいちいちカウンタ変数を用意する必要もないので、コードがシンプルになりますよ。
for i, v inenumerate(["a", "b", "c"]):
■zip()
これは複数のリストやイテレータに対して、同じインデックスをタプルでまとめたイテレータを返してくれます。
例えばこんなリストがあったとして
a = [1,2,3], b = [2, 3, 4]
このように書くと
zip(a, b)
こんな具合に返してくれます。リスト内包表記などに含むと、いろいろできて便利です。
[(1, 2), (2, 3), (3, 4)]
ただ、zipを使うと可読性を下げてしまう場合も多いので、あまり乱用しない方がいいかと思います。
■divmod()
読んで字のごとく、割り算の結果と余りをまとめて求めることができます。
例えば 10÷3 の商と余りを求めたい場合は普通に書くとこんな感じですが
a,b = 10//3, 10%3
divmodを使えばこうなります。
a,b = divmod(10, 3)
あんまり使い道ないかもしれませんが、式を2つ書くよりは少し読みやすくなる……ときもあると思います。
■eval()
evalは他の言語にもあったりするので知っているかもしれませんが、Pythonでも使えますということで。
eval("10+20") とかもできますが、例えばコード内の変数を含めて eval("a+b") といったこともできます。
ただ、他の言語でもよく言われていますがevalを使うのは危険な場合も多いので、慎重に取り扱うようにしましょう……。
■set()
集合を表現する型、setを作ることが出来ます。
こんな感じで使えます。
set([1,2,3])
普通のリストでは同じ要素が複数あってもいいのですが、集合では、同じ要素が複数存在することはありません。
set([1,2,3,3]) とした場合も、setの中身は {1,2,3} の3要素となります。
set同士の場合は &でお互いに含まれる要素の set を作ったり、 | で全ての要素をあわて重複を除いたものを作ったり……というような集合演算が可能です。
■Python3の関数ざっくり一覧
ほかにもいろいろな関数がありますので、以下でざっくりジャンル分け&説明してみました。ざっくりすぎて完全に正確ではないところもあるかもしれないので、詳しい解説は公式ドキュメントを参照しながら使ってみてください。
◆型に関するもの(型変換、型への操作など)
◆数値計算に関するもの
◆リスト、イテレータの処理に関するもの
- all() 全てがTrueならTrueを返す
- any() どれかがTrueならTrueを返す
- enumerate() インデックスを付けたイテレータを返す
- filter() 第一引数に真偽値を返すメソッドやlambda、第二引数にリストを取り、Trueのイテレータを作る
- map() 第一引数にメソッドやlambda、第二引数にリストを取り、第一引数のメソッドやlambdaを通した値のイテレータを作る
- len() リスト内の要素の数を取得
- next() イテレータの次を取得
- range() rangeシーケンスを作る
- reversed() リストなどを反転させる
- slice() スライス処理(配列の一部取得など)
- sorted() リストをソートして返す
- zip() リストやイテレータから要素を集めたタプルのイテレータを作る
◆文字列に関するもの
◆オブジェクトへの操作などに関するもの
- callable() オブジェクトが呼び出し可能かチェックする
- classmethod() クラスメソッドの取得
- staticmethod() 静的メソッドを取得
- setattr() オブジェクトに属性を設定する
- getattr() オブジェクトから属性を取得
- delattr() オブジェクトから属性を削除
- hasattr() オブジェクトの属性名に存在していればTrueを返す
- dir() オブジェクトの有効な属性のリストを取得
- globals() グローバル変数などグローバルシンボルを取得
- locals() ローカル変数などローカルシンボルを取得
- hash() オブジェクトのハッシュ値を取得
- id() オブジェクトの識別値を取得
- isinstance() 第一引数のオブジェクトが第二引数のインスタンスであるかをチェックする
- issubclass() 第一引数のクラスが第二引数のサブクラスかチェックする
- object() 何もないオブジェクトを返す
- property() property属性を返す(@propertyデコレータなどを利用する方がよい……)
- repr() オブジェクトを文字列として返す
- super() 親クラスへのプロキシオブジェクトを返す
- vars() __dict__属性を持つ場合はそれを返す
■まとめ
既にPython3で開発している人にとっては「今さらこんなの知ってるわ」とか「開発ではこんな関数使いようがないわ」という感じのものもあったかと思いますが、最近勉強を始めたばかりの人には、意外と知らない関数が多かったのではないでしょうか。もっといろいろ詳しく知りたい人は、公式ドキュメントを見てみてください。
What’s New in Python — Python 3.6.1 ドキュメント
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paiza.hatenablog.com
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