Photo by Allan Sharp長田です。健康オタクエンジニアです。
前回、健康ではなく「勉強法」についていろいろ書きましたが、今日はそこから派生して「情報収集の方法」について詳しく書きたいと思います。
私は、今年の夏頃から健康に関する情報を収集し始めて健康オタクになったのですが、そのときまず考えていたのが「自分にとって本当に役に立つ情報を、どこからどうやって集めるべきか」でした。
この記事では私が具体的にどうやって情報収集しているのか、あやしい情報と根拠のある情報をどうやって嗅ぎ分けているのかといったことを書いていきます。
私は健康に関する情報を集める(もはや一番の趣味…)ためにこれらを実践しています。が、もちろんITエンジニアなので技術系の情報もよく調べていますし、どんなジャンルの情報収集にも応用できると思います。
情報あふれる現代社会で生きていくために、何か参考になる部分があれば幸いです。
情報過多社会ならぬ情報希薄社会?
下がり続ける情報の質
情報過多社会と言われて久しい昨今ですが…皆さんがふだん触れている情報の質は高いと思いますか?
あふれる情報の中には、ソースがあやしいもの、事実を捏造・歪曲したものなども多いですよね。近年、情報の量は上がっても、質は著しく下がっているように思えます。
なぜそういった情報が広まってしまうのか?「耳触りのいい情報」「ウケがいい情報」こそが広まり、バズり、注目されるということを、情報発信者たちが知ってしまったからです。
例えば、ツイッターなどで拡散され、いいね数を稼いでいる情報の中には「本当かどうかは分からないけれど衝撃的な情報」や「かわいいイラストやインパクトのある写真が目につくけど根拠のない情報」なども多くあります。
情報の質ではなく「ウケそうな情報」が広まってしまうのが、今の情報過多社会だと思います。
「ググレカス」とも言えない時代の到来
Photo by Bhupinder Nayyar
加えて、今やGoogleの検索結果も簡単には信じられない時代となってしまいました。
SEO(Search Engine Optimization)技術が世の中に広まった結果、Googleの検索結果ランキングは「情報の質の高さ」ではなく「SEO対策」に依存してしまっています。
一昔前のインターネット内では、何かにつけて「ググレカス(ggrks)」と返す風潮がありましたよね。しかし、今やググって出てきた情報が正しいかどうかもわからなくなってしまいました。
今やただ「ググる」だけではなく、自分たちで「ググった情報を仕分けて選別する」必要があります。
危険なのは「体験談」の過度な一般化
Web上の情報で特に気をつけるべきなのは、「個人の体験談や経験則を過度に一般化している情報」です。個人の体験談や経験則は、体験者本人にしか通用しない場合も多く、第三者にはほとんど役に立たないからです。
例えば誰かが「朝5時に起きたら普段より仕事に集中できた!」という経験談を持っていたとします。
別に「テストでこれだけ点数が上がった」「100人を5時に起こしたら90人は成果が上がった」みたいな実験をしているわけではないのなら、他の人にも当てはまるとは限りません。科学的に言えば「再現性が検証されていない」ということになります。
また、その人の仕事内容や食生活、年齢、健康状態、家庭環境などさまざまな状況が噛み合って、たまたま「集中できる」状況を生み出していたのかもしれません。
もちろん、体験者本人が「朝5時に起きたら仕事に集中できた経験」自体は事実ですから、その人自身にとっては有益な情報です。
しかし、情報収集にあたっては「基本的に単一の体験談や事例は一般化できない」のを忘れてはいけません。
知識の質がモノを言う時代
「何を選びとるか」で行動が変わる
情報過多社会の影響で、今や「情報を得られること」自体に優位性が生まれる時代ではなくなりました。誰でも手元のスマホ一つで簡単に情報が手に入るからです。
しかし、我々が持っている知識の質は、人によって大きく異なります。
最近はSNS、ニュースアプリ、Wikipedia、口コミサイトなどなど、さまざまな情報源があります。得られる知識の質もさまざまです。
この知識の質は、そのまま人間の行動にも影響を及ぼします。
私は「科学的根拠のある知識」を基準にしているため、科学的根拠のない情報に関しては発信源が誰であれ、疑ってかかります。一方で、信頼している人や口コミ発信の情報を重視している人は、それをもとに行動を変えたりしますよね。
どちらがいい・悪いという話ではありません。先輩に教えられたモノを使ったら共通の話題ができた、憧れの人と同じ行動をとったらモチベーションが上がった…といったこともあり得ますからね。
大事なのは「自分は何を選びとるのか」を考えて、情報の選別方法を意識的に持っておくことです。
情報収集方法の実践編
ここからは私が実際にやっている情報収集の方法です。(もちろんこれをしていれば絶対に正しい情報にありつける!というわけではありません)
大きく分けて「受動的情報収集」と「能動的情報収集」の2つについて説明します。
「受動的」な情報収集の戦略
まず疑う
Photo by Jurgen Appelo
科学の世界には「批判的吟味」という言葉があります。
これと同じように、なんらかの情報に触れたら、まず「本当かしら?」と疑ってかかります。Web上の情報はもちろん、書籍に載っている情報も鵜呑みにするのは危険です(本に書いてあるから正しい情報というわけではありません)。
もっと詳しく言うと、疑うフェーズにおいては情報を「ストーリー」と「データ」に分解します。
ストーリーには説得力を増幅させる効果がありますから、分離して考えたほうが冷静に吟味できます。(さっき触れた「体験談」とかもストーリーに入ります)
加えて、「この情報はそもそも自分に必要なのか?」も考えます。流れてきたすべての情報を吸収しようとすると疲れるし、そもそも不可能だし、本当に必要な情報のために必要なリソースも削られてしまいますからね。
不要な情報なら速攻「(自分にとっては)価値なし」と捨てて終了です。たとえば、私は芸能スキャンダルやゴシップ情報に興味がなく、必要性を感じないので、目に入ってきてもスルーしています。
深掘りして調べる
「この情報は自分に必要そうである、調べるに値する」と判断できたら、さらに調査をします。
例えば、その記事の中に出典や参考文献、原文などの記載があり、閲覧できる場合は必ず目を通します。書籍の紹介文や翻訳文などは、その要約や翻訳をする過程で仲介者のバイアスがかかっていたり、翻訳が間違っていたりして、原本の内容が捻じ曲がっているケースも珍しくないからです。
出典などがなければ、インターネットで調べます。さきほど「Googleの検索結果も簡単には信じられない」と書きましたが、ちゃんと意識的に選別すれば、検索結果でもある程度信頼できる情報(きちんと論文や文献をあげているような…)は出てきます。
「ノイズレスサーチ」などのGoogle検索結果から信ぴょう性の低い情報を排除してくれるツールも使います。
ちなみに、自分なりに信頼できる情報ソースを持っているとめちゃくちゃ便利です。私の場合(何度か紹介していますが)、健康や心理学に関する情報は真っ先に「パレオな男」さんでブログ内検索します。
こちらのブログは、年に数千本もの科学論文を読み漁っている化け物みたいな方(ほめています!!)が運営していて、毎日1〜2本の論文を紹介されています。読んでもらえればわかりますが、私の健康情報の基礎はこちらのブログでできています。
が、これも皆さんに「このブログを信じよう!」と言いたいわけでは全然なく(もちろんおすすめではありますが)、重要なのは「自分が得たい情報の質が担保されている情報源を探す」ことです。
私は、本来であれば自分で何千本もの論文を読み込まないといけないコストを「パレオな男」さんによってかなり省けています。(圧倒的感謝っ…!)
このように、コスト削減のためにも「この人が書いた本は信頼できる可能性が高い」みたいな基準が持てると情報収集は楽になります。
ランクづけする
「この情報をどのくらい信頼するか」は、なんとなくランクづけしています。
別に厳密な点数付けをしているわけではありません。以下のような基準をもとに、自分の中で「これは信頼できる!」「これは参考レベルかな」「これは信頼できないな」くらいの分類をしています。
S: 豊富なデータ量の論文がある
A: 豊富ではないにしろ論文がある
B: 論文はなくてもある程度事例がある
C: 強大な事例が1個ある
D: データなし、妄想、エンタメ
なぜランク付けをするかですが、結局「100%信頼できる情報などほぼ存在しない」と考えているからです。だから、100%信頼できる・できないではなく、優先順位付けが大事なんだと思います。
Sランク相当の健康情報でも自分には適合しない可能性はありますし(以前も言いましたが人には個人差があります)、のちに出てきた論文でその説が覆ってしまうこともあり得ますからね。
「能動的」な情報収集の戦略
欲しい情報の質について考える
まず、漫然と情報収集するのではなく、自分がほしい情報についてちゃんと考えます。例えば「集中力」に関する情報を探す場合は、下記のような目的パターンがあります。
- 古い知識をアップデートしたい
- 科学的根拠がしっかりあるデータが欲しい
- 事例データがたくさん欲しい
- 信頼できる専門家が発信している知識が欲しい
- 古典的な知識でもとりあえず仕入れておきたい
こういった目的を考えて、情報収集の「ゴール」を決めるわけです。
世の中にあるすべての知識を頭に入れるなんて不可能なので、「どんな知識を仕入れるのか」「どのレベルまで知識を入れるのか」をある程度定めておかないと、ゴールを見失ってしまいます。
本を漁る
Photo by faeryhedgehog
いきなり論文を漁るのは体力を使いますから、まずは本を探します。本探しのコツは、先ほど決めた「ゴール」を満たしてくれる情報があるかどうかです。
例えば「科学的根拠がしっかりした知識を入れたい」のだとしたら、文末などに参考文献を挙げていない書籍は、根拠が保証されないため、情報源候補から外されます。一方で、「とりあえず最近の企業が実践している最新事例をたくさん知りたい」みたいな目的であれば、別に参考文献の記載がなくても許容範囲内かもしれません。
本の読み方に関しては、前回の記事で詳しく書いているので、興味のある人は読んでみてください。
paiza.hatenablog.com
論文を漁る
本で解決できなかった場合は論文を漁ります。と言っても、論文すべてをもれなく読み込もうとすると、時間がいくらあっても足りません。私は別に研究者ではないですから、知りたい情報だけピックアップできればOKです。
優秀な論文は「Abstract(要旨)」を見ただけで、大体の結末がわかります。ただ、それだけではデータの質(分析方法や被験者数、効果量など)に関しては言及されていない場合もあるので、その場合は「Conclusion(結論)」や「Result(実験結果)」などをさらって、知りたい情報があるかどうか見ていきましょう。
論文の読み方・調べ方に関しては、以前も紹介しましたが「心理職のためのエビデンス・ベイスト・プラクティス入門」というとても優れた書籍がありますから、興味のある方は読んでみてください。(心理学以外の分野でも参考になる本です)

心理職のためのエビデンス・ベイスト・プラクティス入門―エビデンスを「まなぶ」「つくる」「つかう」
- 作者:原田隆之
- 出版社/メーカー:金剛出版
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- メディア:単行本(ソフトカバー)
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まとめ
というわけで、情報収集についていろいろ書いてみました。
健康法から始まって、前回は勉強法・今回は情報収集法と、いよいよ何が本業かわからなくなってきましたね。エンジニアです。
今までの記事に書いてきた内容は、こんなふうに自分なりに情報の取捨選択をしたり、論文やデータで調べたりした上で、実践していること(そして効果があったこと)を書いてきました。
ただ、私の記事に書いてある内容も、すべてが100%正しいというわけではありません。何度も言いますが、すべての人がひとつの法則にあてはまるわけでもなければ、何年も正しいとされてきた説が新しい論文でひっくり返されてしまうことはよくあります。
どんな分野の情報も、アップデートが重要ですね。みなさんも知識はどんどんアップデートしていきましょう。
以前書いた健康法の記事はこちら
paiza.hatenablog.com
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